三井ベンチャーズ NEWS

NEWS 2006

[11/28/2006]

バイオレックス社、ネイチャー・バイオテクノロジー誌において有効性と効力を高めたモノクローナル抗体生産の可能性を発表


米国ノースカロライナ州ピッツボロ、2006年11月28日

バイオレックス・セラピューティクス社は、本日、ネイチャー・バイオテクノロジー誌において、in vitroでの有効性と効力を高めたモノクローナル抗体を自社独自のLEX SystemSMを用いて生産できることを示す結果を発表しました。この研究は、現在進められているバイオレックス社とメダレックス社の共同研究の一環として、両社の研究者が行いました。今回の発表では、LEX Systemによって糖鎖修飾が均一な構造を持つ抗体を生産できることも示されていますが、これは、現在広く用いられている発現系と比較した場合のLEX Systemのもう1つの大きな利点であり、生産上のリスクや規制上のリスク、コストを削減するカギとなるものです。

「当社がモノクローナル抗体を最適化する能力を急速かつ順調に発展させていることで、LEX Systemの価値を大いに高めており、製品への応用の機会も広がってきています。」と語るのは、バイオレックス社のヤン・トゥレックCEOです。「抗体の糖鎖修飾の最適化は、当社が現在および将来見込んでいる数々の共同研究の焦点となる部分であり、これによってバイオレックス社独自の製品パイプラインを拡大するチャンスも広がります。」

ネイチャー・バイオテクノロジー誌で報告された結果

モノクローナル抗体は、タンパク質治療のなかでも最も急速に成長している分野で、現在は主に、癌、自己免疫疾患、感染症、炎症性疾患の治療用として利用、開発されています。モノクローナル抗体の有効性は、特に癌治療への適応を目的とする場合、抗体のFc領域の糖鎖修飾の構造に大きく左右されます。現在、大部分のモノクローナル抗体は、哺乳類の細胞系、具体的にはチャイニーズハムスター卵巣(CHO)の培養細胞を用いた細胞系で生産されています。

結果は、ネイチャー・バイオテクノロジー誌のオンライン版(11月26日)と印刷版(12月号)に「水生植物Lemna minor内でのヒトモノクローナル抗体のグリカンの最適化」というタイトルで報告されました。メダレックス社とバイオレックス社の研究は、LEX Systemで生産したモノクローナル抗体MDX-060とCHO細胞系で生産したMDX-060の性質を調べました。LEX Systemは、抗体の糖鎖構造を最適化するために、バイオレックス社が遺伝子組換え技術を用いて開発したものです。LEX Systemで生産したMDX-060は、CHO細胞系で生産したMDX-060よりもFcレセプターに高い親和性を示しますが、他の抗体製品では、この性質は、癌や自己免疫疾患への適応において、高い有効性や治療への応答性と強い相関を示しています。LEX Systemで生産したMDX-060の結合親和性の高さは、CHO細胞系で生産したMDX-060の少なくとも20~35倍で、LEX SystemのMDX-060のエフェクター機能は、抗体依存性細胞傷害(ADCC)を比較した場合、CHO細胞系のMDX-060の2倍以上でした。

MDX-060の最適化は、フコースとキシロースという2つの糖の、抗体の糖鎖構造への付加にかかわる2種類の遺伝子を沈黙させるようにLEX Systemを調節することによって実現されました。フコースは、既存の発現系で生産されるモノクローナル抗体の糖鎖構造に一般的に存在する糖の1種です。LEX Systemで生産したMDX-060で示されたFcの機能向上は、LEX Systemが糖鎖構造からフコースを除いた抗体の発現に成功したことによります。フコースとともにもう1つの糖であるキシロースの発現を抑えることにバイオレックス社が成功したことで、検出可能なフコースやキシロースを全く含まない完全ヒト型の糖鎖構造が実現しました。バイオレックス社は、10種類以上のモノクローナル抗体の生産に成功しており、複数のパートナーと共同で、複数のタンパク質について、LEX Systemを用いて完全ヒト型の糖鎖構造を持つ(フコースやキシロースを含まない)最適化した抗体を生産できることを示すとともに、このシステムの頑健性と一貫性を強調しています。

MDX-060は、現在、メダレックス社が開発を進めているモノクローナル抗体の1つです。報告された研究は、2005年に開始され、今年初めに拡大されたバイオレックス社とメダレックス社の提携関係の一環として行われました。バイオレックス社は、LEX Systemを用いてメダレックス社の抗体3種の量産用細胞株を開発しています。

メダレックス社の上級副社長兼サイエンス担当役員であるニルス・ロンバーグ博士は、「現在までに当社とバイオレックス社との提携が急速な発展を遂げていることを喜ばしく思っています。この技術を応用して、有効性が見込まれる抗体医薬の開発を強化することを期待しています」と述べています。

LEX Systemの有するかつてない均一性

同誌で報告された結果は、LEX Systemが均一な糖鎖構造を持つ抗体を生産することも明らかにしており、CHOをはじめとする他の発現系においてモノクローナル抗体のフコシル化を抑えるとされる一部の技術とLEX Systemとの違いを示しています。LEX Systemを用いたMDX-060は、単一の、きわめて望ましい、完全ヒト型のグリコフォームとして生産されました。これに対して、他の糖鎖修飾技術を用いるCHO細胞系では、グリコフォームの不均一な抗体として発現することが報告されています。CHO細胞系で生産した特定のグリコフォームの比率は細胞培養の条件、生産規模その他の要因によって変化する可能性があるため、抗体の特性解析が難しく、一貫性やスケールアップ、規制上の問題が生じかねません。そのため、LEX Systemによって、糖鎖構造が均一で発現後にさらに化学修飾の必要がない抗体を生産できるということは、過去に類をみないことであり、大きな前進なのです。さらに、この糖鎖修飾の最適化を実現するためのLEX Systemの改変が生産効率や収率の低下につながることはありません。

バイオレックス社の最高業務責任者兼研究開発担当上級副社長のデイヴィッド・スペンサー博士は、「糖鎖修飾を制御し、スケールアップの全過程を通して一貫した生産を実現することは、バイオ医薬品産業が直面している大きな課題の1つです。LEX Systemを用いてより高い機能性と均一な糖鎖構造を持つ抗体を生産できることは、大きな成功です」と述べています。

バイオレックス社について

バイオレックス・セラピューティクス社は、生産困難なタンパク質の生産及びモノクローナル抗体の最適化を可能にする発現系である独自のLEX SystemSMを基に、治療用タンパク質の開発及び商品化を手がけています。同社は、既知の作用機序に基づいて低リスクの独自の製品パイプラインを開発中であり、確実かつ大規模な医薬品市場をターゲットとしています。バイオレックス社の主力候補薬LocteronTMは、C型肝炎治療用のベスト・イン・クラスの放出制御型インターフェロン?として第II相試験が進められています。同社の2番目の候補薬であるBLX-155は直接作用性の血栓溶解剤であり、急性末梢動脈疾患、深部静脈血栓症、カテーテル閉塞など特定の疾患における血栓溶解を目的とするものです。さらに、LEX Systemの他に類をみない能力によって、セントコア社、メダレックス社、ジェンマブ社をはじめとする有力な医薬品・バイオテクノロジー企業との提携関係を結んでいます。バイオレックス社はベンチャーキャピタルが支援する企業で、米国ノースカロライナ州のリサーチ・トライアングルに所在します。

詳細については、バイオレックス社のウェブサイトwww.biolex.comをご覧ください。

http://www.biolex.com/

メディア関係の方:


ミシェル・リン、Linnden Communications、508-419-1555、linnmich@comcast.net

投資家の方:

デール・サンダー、最高財務責任者、858-663-6993、dsander@biolex.com